創設者理念
強さを目指さない空手道場???
「空手」と聞いて、どんなことをイメージされますか?
「全身を鍛えて、一撃で相手を倒す武道」そんなイメージをお持ちかもしれません。
やはり道場に入門される方も、最初は「強くなりたい!」「鍛えたい!」・・・。
そんな動機の方が、一番多くいらっしゃいます。
私が空手を始めた動機も同じようなもので、最初は、強くなりたい!いじめっこに仕返ししたい!!
・・ただそれだけでした。
子供の頃の私は、運動も勉強も最低の成績。そして、私だけ肝試しができなかったことが原因で始まった、
「いじめ」・・・。
それは暴力的ないじめではなく、存在を無視される、精神的ないじめでした。
運動会や遠足で、一人食べるお弁当の味は胸の奥から込み上げてくる涙の味しかしない、寂しいものでした。
何の特技もない自分なんか、誰も相手にしてくれるはずがない・・・
何で、こんな風に生まれて来ちゃったんだろう・・・
僕なんていない方がいいんじゃないか・・・
毎日毎日、ずっとそんなことを考えながら生きてきました。
そんなある日、当時大ブームとなっていた映画を観に行ったのです。
それは、「ブルースリー」。・・・衝撃でした。
さえない青年(映画の構成上)が見せた「後ろ上段回し蹴り」!
その、たった1秒の動きを見た瞬間に、私の人生が180度変わったんです。
その日のうちに、なんと私は、映画の帰り道で見付けた「空手道場」に入門してしまいました。
今思えば、当時の私には考えられない積極的な行動です。
そこは、とても厳しい道場でした。
稽古前に、公道を5キロ、裸足でマラソン。
一日の稽古は、そこからスタート。
運動神経ゼロの私は、全ての稽古についていけず、特訓、特訓の日々でした。
そして、その年の運動会でのこと。
徒競走では、いつも大差をつけられてビリの私がなんと、2位でゴールイン!!
これをきっかけに、体育の成績は1から4に!
すっかり自信をつけた私は、勉強の成績もグングン上がり・・・いつの間にか、いじめは無くなっていました。その時、気が付いたのです。
私は、いじめっこをやっつけたかった訳じゃなかった。
自分に自信が欲しかった。ただ、それだけだったということに・・・
いじめは、いじめられる側にも問題があるのかもしれません。
これまで私が関わって来た子供たちや自信をなくしている大人の方を見ていると多くの方が、「優しさと謙虚さ」を持っていました。
でも、自分に自信がないことで、その「優しさと謙虚さ」は裏目に出てしまうこともあるのです。
私の空手道場の目的は、そんな自分の子供の頃の体験を活かし一人一人自分の持っている長所を引き出し、「自信をもたせてあげる」こと。
いつも笑顔で、人にも自分にも優しく、そこにいるだけでその場がパッと明るくなる。そんな・・・「強くではなく、かっこよく」を目指す、世界で一つだ
けの道場の誕生話しを聞いてください。
そして、今これを読んで下さっているあなたが、「自分にもできる」と感じて頂ければ幸いです。
私の空手道場「善心道」は、現在、東京都江戸川区篠崎、瑞江、一之江、小岩、茨城のつくばにあります。
実は、7年前までの私は、空手道場をやろうなんて、まったく考えてもいませんでした。
当時、九州の福岡に住んでいた私はたまたま会社の健康診断で、運動不足を指摘され、せっかく身体を動かすなら「空手」をやろう!・・・それが、全ての始まりでした。
同じやるのであれば、自分が理想とする道場でやりたい!
そう思い、探しまわってはみたものの、なかなか理想的な道場には巡り会えず、悩んでいた矢先に隣の家に引越をされて来た方が、挨拶にこられました。
お話を伺っていると、その方はなんと、元 空手のチャンピオン!
私が道場を探していることを話すと、「僕もやりたい!」と、すぐに意気投合して一緒に道場探しに歩きました。・・・が、結果は同じ。
何度探しても、自分たちが理想とする道場には巡り会えなかったんです。
ある日の道場探しの帰り道、途方に暮れている私に、坂口チャンピオンは、意を決したかのように口を開きました。
「堀さん、私たち独自の空手道場を自分たちの手で作りませんか?」
私は面食らいました。
でももう、どうしようもないワクワク感が私を包みこんでいました。
「ぜひやりましょう!」私たちは夕焼けに向かって、がっちりと握手を交わしたのです。
そして、2002年5月。忘れもしない、道場の初日。
私たちは道場の名を「泰成塾」と決め、近くの小学校の体育館を借り、知り合いだけ6名で初稽古をやりました。
稽古はまさに私が描いていたそのもの。理想の道場はここにあったのです!
全身の細胞が沸々と音をたてて、興奮がとまりません。
それは、他のどの道場よりも厳しい稽古でありながらも、柔らかい空気。
相手を倒す為の、強くなる為の手段ではなく、自分を探すため、真の自分を見付けることを目的とした道場なのです。
新しく入門してくる人を心からの笑顔で迎え、心から仲間を応援するこの場所が、
いつの日か、すべての人が「自分の居場所」と感じられる道場となり、道場生もドンドン増えていきました。
そんな日々が3年も過ぎたある日、
会社から「東京への転勤辞令」を言い渡されました。
私も、坂口チャンピオンの元でたくさんのことを教えられた3年間ではありましたが、チャンピオンのような冠を何も持っていない私は、自分で道場を
やるわけにもいかずこれから先のことを考え、悩んでいました。
そんな時に出逢った、江戸川区篠崎の書店「読書のすすめ」の清水店長にズバッと言われたんです。
「自分で道場をはじめたらいいじゃないですか」
「柔道の嘉納治五郎も、柔道の腕はたいしたことなかったんですよ」
「始める前からこうなったらどうしようなんて考えちゃだめ。何か問題が起きたら、その時考えればいいんですよ」
・・・まさにその通り。
自分でも、やりたいと思っていたくせに、あーだこーだと自分に言い訳をしてエイッと飛び込む勇気から逃げていたんです。
そのことを坂口チャンピオンに話しをするとまるで自分のことのように喜び、応援してくれたのです。
そして私は、晴れて2005年8月21日に私の道場「善心道」の初日を迎えました。
「泰成塾」で培ったものを大切しながら、私にしかできない道場を創ろう!
子供の頃、自分に自信が持てずに自分なんかいなければいい…そう思っていた私が、今は、こうして前を向いて歩き続けている。
その姿を見せ続けていこう!
そう、決意しました。もう、私には迷いなんかはありませんでした。
それは、緊張感で萎縮してしまうような空間ではなく、ノビノビとした空間で、厳しい稽古に取り組むということ。
「強く」よりも「かっこよく」にこだわり、「敵を倒す」のではなく、「己の弱さ」に打ち克つこと。
真の強さとは、自分に自信が持てることであり、人に優しくあること。
仲間を応援する思いやりに溢れた道場であること。
私は、この「人間空手道場 善心道」を通じて、
一人一人が、自分の存在価値を感じられる人になってもらいたい。
自分が存在することは、人に感謝されることなんだとそう、気付かせてあげる場所を創ること。
そして、今もこうして悩み、苦しんでいる世界中の人たちに自分に自信が持てるきっかけとなる場であること。
だからこそ、一人でも多くの道場主を育て各都道府県に「善心道」を創ること。
そして、日本中から殺伐としたピリピリとした社会をなくすこと。
・・・それが、私の夢となりました。
懸命に頑張ること。
その懸命に頑張る人を心から応援し、感動と喜びをもらって自分も頑張ろうと思うこと。
それこそがまさに善の循環。「善の心の道」・・・善心道なのです。
一歩踏み出す勇気を持つと、人生は劇的に向上します。
私が空手と出会い、そして、素適な人との出会いで人生が大きく劇的に向上したように、善心道空手の道場生にも、劇的な向上をして欲しいと願っています。
その為に、私は善心道の空手を教え続けていきます!
長い文章を読んで頂き、ありがとうございました。
善心道の空手は、「強くではなくかっこよく!」という考え方でやっております。
それは、己の弱気に立ち向かっていくということ。敵は外にいるのではなく、自分自身の弱気である。その弱気に打ち克つことなのです。私はその
ための応援団長になります。
人間空手道場 善心道 創始者
故・堀 善亮